エフェメラ:印刷物と表現
美術作品や書籍のように長期的な保存を本来の目的とせず、時限的な情報掲載や使用が主たる目的であるチラシやパンフレットなどのアイテムは、限られた期間で消えゆくものとして「ephemera=1⽇だけの、短命な」の⾔葉が与えられ「エフェメラ」と呼ばれます。安価につくられ配布された印刷物のエフェメラ(printed ephemera)は、時代ごとの出来事や空気を伝える重要なアイテムであり、近年、ミュージアムをはじめとする文化機関において蒐集の対象ともなっています。
慶應義塾ミュージアム・コモンズでは、エフェメラ、特に無料もしくは安価に刷られることで社会に広がるメディアとしての機能をもった印刷物エフェメラに焦点を当てた展覧会を開催いたします。コンセプチュアル・アートやイベント、映像表現といった新しい表現が現れ展開していった戦後美術のなかで、作品や展覧会の情報の伝達と紐づきながら、同時にアーティストの表現の場となったパンフレットやカタログ、アート雑誌などの印刷物エフェメラでは、限られた紙面のなかでさまざまな実験が試みられています。
本展覧会ではそうした紙面上の実験を紹介しながら、結果的に過去の出来事を伝え残す存在となったエフェメラに目を向けて、情報や表現の乗り物としての印刷物/エフェメラについて考えます。
また現代表現との接続として、エフェメラ/印刷物に関心を寄せる現代のアーティスト、河口龍夫と冨井大裕による二人展を同時に開催いたします。
日付
2024年3月18日(月)~5月10日(金)
11:00–18:00 土日祝休館
特別開館|3月30日(土)、4月20日(土)
臨時休館|4月1日(月)、4月30日(火)~5月2日(木)場所
慶應義塾ミュージアム・コモンズ(三田キャンパス東別館)
対象
どなたでもご覧いただけます(事前予約不要)
費用
無料
お問い合わせ
主な出品資料
撮影|村松桂(カロワークス)
1.南画廊カタログ(南画廊発行、1956–1979年刊行)、慶應義塾大学アート・センターおよびJapan Cultural Research Institute所蔵
2.SAC / SAC Journal(草月アートセンター発行、1960–1964年刊行)、慶應義塾大学アート・センター所管
3.Art & Project bulletin(art & project発行、1968–1989年刊行)、個人蔵ほか
関連イベント【要予約】
1.学芸員によるギャラリートーク|3月25日(月)15:00–16:00⇒終了しました
2.住み処の住人トーク
・久保仁志(慶應義塾大学アート・センター)|「『SAC』/『SAC Journal』:イベント=出来事としての印刷物」 4月4日(木)18:30–19:30⇒終了しました
・長名大地(東京国立近代美術館アートライブラリ)|5月8日(水)18:30–19:30 ⇒終了しました
3.アーティストトーク
河口龍夫|「長生きしたカゲロウ」 4月11日(木)18:00–19:30⇒終了しました
冨井大裕|「経験をみること」 4月20日(土)15:00–16:30 ⇒終了しました
両日とも 聞き手:渡部葉子(慶應義塾大学アート・センター/KeMCo)
イベントアーカイヴ公開
■ 住み処の住人トーク
[第1弾]4月4日(木)18:30–19:30
久保仁志(慶應義塾大学アート・センター)|「『SAC』/『SAC Journal』:イベント=出来事としての印刷物」
草月アートセンター、南画廊の資料が普段、所蔵・寄託の形で収められている慶應義塾大学アート・センターは、アーカイヴと展示スペースをもった慶應義塾大学の芸術研究所です。
トークでは、アート・センターのアーキヴィストをお招きして、草月アートセンター資料の話を中心にお話いただきました。
[第2弾]5月8日(水)18:30–19:30
長名大地(東京国立近代美術館アートライブラリ)
展覧会の一つの目玉であったオランダの画廊Art & Projectより発行されたbulletin全156号(155冊)は、東京国立近代美術館のアートライブラリの所蔵資料です。 本トークでは、同館情報資料室長の長名大地氏をお迎えし「エフェメラの住み処」としてのアートライブラリの所蔵資料や活動についてお話いただきました。
■ アーティストトーク
[第1弾]4月11日(木)18:00–19:30
河口龍夫|「長生きしたカゲロウ」
「エフェメラ」という言葉を知る前から、会期が終了した自身の個展ポスターや招待状に手遊び的に筆を入れてきた河口氏。本トークでは、そうして作品となった過去の展覧会や、言葉と作品の関係についてお話いただきました。
[第2弾]4月20日(土)15:00–16:30
冨井大裕|「長生きしたカゲロウ」
本展で展覧会チラシやDM、お札の作品を展示中の冨井氏は、これまでにも印刷物に関心を寄せた作品を展開してきました。本トークでは、そうした印刷物に関する制作実践や慶應義塾大学アート・センターで行ったSHOW-CASE projectについて、そして冨井氏の印刷物に対するまなざしが語られました。
刊行物
展覧会カタログ『エフェメラ:印刷物と表現』
企画・編集|慶應義塾ミュージアム・コモンズ
編集協力 |特定⾮営利活動法⼈ Japan Cultural Research Institute
デザイン |松本久木(松本工房)
価 格 |1,500円
詳しくはこちら
ご希望の方はミュージアム・コモンズ事務室(東別館4F)にてお求めください。
※事務室は平日9:00-17:00の開室。お支払いは現金のみで対応しております。
関連動画
2023年9月16日に、本展に先駆けて開催されたトーク・イベント「エフェメラの住み処:ライブラリー、ミュージアム、アーカイヴ」のアーカイヴ動画を公開しました。(公開は2025年3月末まで)
メディア掲載
「エフェメラ:印刷物と表現」をご紹介いただきました。
展覧会チラシはこちら
プレスリリースはこちら
主催|慶應義塾ミュージアム・コモンズ、特定⾮営利活動法⼈ Japan Cultural Research Institute
協力|慶應義塾大学アート・センター
出品協力|東京国立近代美術館アートライブラリ