【次回展】Land-scape-お持ち帰りできる風景

四季のめぐりとともに常に変化し続ける風景を楽しむために、古くから現代まで、私たちは風景の在る場所に絶え間なく足を運んできました。その一方で、中世より、書物や版画、そして写真といった複製技術を用いて、動かぬ風景の諸相を再構築し、再創造する営みを続けてきました。
本展覧会は、西洋中世の写本装飾に見る風景前史から始まり、近代旅行記が伝えた異国の風景、理想風景とグランド・ツアー、ピクチャレスクの旅、葉書で送られる風景といった7つのテーマのもと、写本や稀覯本(きこうぼん)、版画や写真、絵葉書や旅の道具などの紹介を通じて、みなさんを「お持ち帰りできる風景」を巡る旅にご招待します。

  • 日付

    2024年10月7日(月)~12月6日(金)
    11:00–18:00 土日祝休館
    特別開館|10 19 日(土)、11 23 日(土・祝)
    臨時休館|10 21 日(月)、11 25 日(月)

  • 場所

    慶應義塾ミュージアム・コモンズ(三田キャンパス東別館)

  • 対象

    どなたでもご覧いただけます(事前予約不要)

  • 費用

    無料

  • お問い合わせ

展覧会の概要と構成予定

1. 風景前史-彩飾写本の背景
中世末期における時禱書写本の暦を装飾する「月暦図」に、風景が画題として独立する萌芽を見出します。

 

2. 地誌から地図へ-占有される風景
初期近代の木版画が添えられた旅行記、また17-18 世紀の精緻な版画による景観図や都市図を通して、環境と風景の関わりを紹介します。

 

3. イタリアを持ち帰る-グランド・ツアーと理想風景
17 世紀イタリアで隆盛した自然の景色のなかに廃墟などを配置した「理想風景」は、イギリスやドイツのグランド・ツーリストによって熱心に求められました。

 

4. 田園を持ち帰る-ピクチャレスクとイギリスの自然
18 世紀後半のイギリスでは、イギリス各地に「絵になる」(ピクチャレスク)景色を求めて旅をするピクチャレスク・ツアーが流行しました。

 

5. ツーリズムとノスタルジア-19 世紀の景観
観光旅行の大衆化が始まる19 世紀のイギリスでは、新発明の写真技術により観光名所や景勝地の風景が気軽に手に入るようになりました。

 

6. 風景を写し取る-風景写生のアイテム
戸外写生に用いられた道具や、風景描写の手本となるドローイング・マニュアルといったアイテムを通して、 18 世紀後半以降のイギリスでブームとなった風景写生の実践に注目します。

 

7. 持ち帰られた風景-風景を運ぶ葉書
19 世紀後半、名所風景は葉書という形を得て、ツーリズムのさらなる大衆化とともに世界中に広まりました。本展覧会の締めくくりに、慶應義塾ゆかりの人物たちの絵葉書を取り上げます。

 

主な出品作品

1. 時禱書 10 月の暦 さそり座, 1500 年頃, 個人蔵
2. ジョージ・サンズ, 『1610年からの旅の記録』第3版, 1627 年, 個人蔵
3. ジョン・ロック, ロンドン、ウェストミンスター、サザーク市街図, 1746 年, 慶應義塾図書館
4. クロード・ロラン,『真実の書』, 1777 年, 慶應義塾図書館
5. 「イタリアの景観写真集」, 1882 年, 個人蔵
6. 『現代水彩絵具解説ハンドブック』, 1887 年, 慶應義塾図書館
7. ウィリアム・ギルピン, 『ワイ川観察紀行』, 1789 年,慶應義塾図書館
8. 鉄道寝台券 Sleeping Car Berth Ticket(山本久三郎旧蔵資料より), 1913 年, 慶應義塾図書館
9. 鎌田栄吉宛風景絵はがき, 慶應義塾図書館

 

関連イベント

公開シンポジウム「Land-scape: お持ち帰りできる風景」

日 付|2024 年10 月19 日(土) 午後
場 所|慶應義塾大学三田キャンパス
内 容|本展覧会企画者(松田隆美、桐島美帆) とゲストによるシンポジウム
登壇者|大石 和欣(東京大学総合文化研究科教授)
・・・・杉村 浩哉(栃木市立美術館館長)
・・・・松田 隆美(慶應義塾大学名誉教授)
・・・・桐島 美帆(慶應義塾大学アート・センター学芸員)

 

要事前申し込み。予約申し込みは9月27日(金)より開始します。申し込み方法等はウェブサイト、SNS等でお知らせします。

 

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主催:慶應義塾ミュージアム・コモンズ
協力:慶應義塾大学アート・センター、慶應義塾図書館

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