アーカイヴ公開:トーク・イベント
「泉鏡花とたそがれの味Ⅰ:鏡花とうさぎと三田の文人たちと」
2023年2月4日(土)に、展覧会「KeMCo新春展2023 うさぎの潜む空き地 特別企画 鏡花のお気に入りたち」関連イベントとして、泉鏡花記念館学芸員 穴倉玉日氏と慶應義塾大学文学部助教 ピーター・バナード氏を登壇者に迎えたトーク・イベント「泉鏡花とたそがれの味Ⅰ:鏡花とうさぎと三田の文人たちと」を三田キャンパス東館6F G-Labにて開催しました。
トークは「そもそも、なぜ慶應義塾に泉鏡花の遺品が?」という話題から始まりますが、それは慶應義塾大学ゆかりの文芸誌『三田文学』の代表的な作家・水上瀧太郎ら、鏡花を取り巻く人々の奔走によるものでした。保管先として鏡花晩年の住居やゆかりのある寺など候補はいくつかありましたが、最終的には瀧太郎の親友で当時の塾長であった小泉信三を頼り、遺品は慶應義塾に収められることとなりました。
この「作家の遺品を保管し、後世へ伝えていく」という取り組み自体が、この時代としては他に例がなく、先進的であったと穴倉氏は語ります。バナード氏は、鏡花の作品からは崇高でロマン主義的な印象を受けるが、その私生活はうさぎグッズを集めるのが趣味であり、人間関係においてもあらたまった師弟関係とは違って一緒にお酒を飲んで楽しめる…そのような作品と人間性のギャップが鏡花の魅力であったと考えており、穴倉氏もこの魅力的な人柄が没後の遺品保存につながったのではと考えます。
今年は鏡花の没後150年です。今回語られた「後に残す仕事」が次の50年後の鏡花ファン、そしてバナード氏のような外国の研究者にまで広がり受け継がれていくことを期待し、トークの結びとしました。
トークの様子はYouTubeからアーカイヴ配信をご覧いただけます。
トーク・イベント「泉鏡花とたそがれの味Ⅰ:鏡花とうさぎと三田の文人たちと」
日時:2023年2月4日(土)13:30~15:00
場所:慶應義塾大学三田キャンパス東館 6F G-Lab
登壇者:
穴倉玉日(泉鏡花記念館 学芸員)
ピーター・バナード(慶應義塾大学文学部 助教)
モデレーター:本間友(慶應義塾ミュージアム・コモンズ 専任講師)
司会:松谷芙美(慶應義塾ミュージアム・コモンズ 専任講師)