『本景 — 書物文化がつくりだす連想の風景』KeMCo叢書1
(松田隆美 編)

KeMCo叢書 1 本景

2023年3月、慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)は「KeMCo叢書」を創刊しました。KeMCo叢書は、KeMCoが開催した国際シンポジウムに基づいて編集されるブック・シリーズです。

 

創刊号となる本書では、2021年5月にオンラインで開催した国際シンポジウム「本景—書物文化がつくりだす連想の風景」での発表を改訂して発展させた論考5本に、新たに執筆を依頼した論考2本を加え、さらに「本景」シンポジウムと連携して2021年5月に慶應義塾図書館で開催した展覧会「(西洋)文字景-慶應義塾図書館所蔵西洋貴重書にみる書体と活字」の展示図録を再録しました。

 

シンポジウムおよび本論集のタイトル「本景」(Book-scape)は、KeMCoのコンセプト「空き地」と深く結びついています。KeMCoは大学に関わるさまざまな人々が、多様な文化財を持ち寄って交流することで、斬新なアイデアが生まれ、新たな連携が実を結ぶ「空き地」(その構成員と機能について、ゆるやかな合意が形成されている準公共の空間)として設計されました。その前提には、全ての文化財をひとつの「オブジェクト」として捉えることから出発するという基本姿勢があり、それは対象が書物であっても例外ではありません。

 

「本景」では、東西の書物、さらには今日書物を取り囲むデジタル環境をそうした視点で捉えることで見えてくる、新しい「景色」に注目しています。

  • 著者など

    編者:松田隆美

    著者:安形麻理、クリスチャン・イエンセン、亀井ダイチ アンドリュー、アレクサンドラ・ギレスピー、佐々木孝浩、徳永聡子、アレッサンドロ・ビアンキ、松田隆美、ジェシカ・ロックハート

  • 判型・ページ数

    253ページ、菊判(150x220mm)

  • PDF

  • 価格

    2,500円(税込)

  • 発行日

    2023年3月31日

目次

松田隆美「はじめに―ブックスケープ(本景)と KeMCo の風景」
Takami Matsuda, ‘Preface: Book-scape and the Landscape at KeMCo’

 

I 未来の「本景」―方法論と文脈における新たな試み
The future book-scape: new challenges in methodology and context

 

Kristian Jensen, ‘The Curation of Collections of Books and Archives and the Study of Material Culture — An Exploration of a Methodological Challenge’
クリスチャン・イエンセン「書物コレクションとアーカイヴのキュレーションと物質 文化研究― 方法論的難題の探求」(杉山ゆき訳)

 

Alexandra Gillespie and Jessica Lockhart, ‘Opening Books to Science’
アレクサンドラ・ギレスピー、ジェシカ・ロックハート「科学に向けて書物を開く」 (新居達也訳)

 

松田隆美「KeMCo における書物の風景―書物のマテリアリティとミュージアムの文脈」
Takami Matsuda, ‘Book-scape at KeMCo: Materiality of the Book in the Museum Context’

 

安形麻理「書物史へのデジタル・ヒューマニティーズによるアプローチ」
Mari Agata, ‘Approaches to the History of Book through Digital Humanities’

 

II グローバルな文脈でみる日本の「本景」
The Japanese book-scape in the global context

 

Alessandro Bianchi, ‘The Arts of the Book and Books as Art’
アレッサンドロ・ビアンキ「書物の芸術と芸術としての書物」(小林亜伽里訳)

 

佐々木孝浩「日本の特小本の伝統について」
Takahiro Sasaki, ‘On the Tradition of Miniature Books in Japan’ (trans. by Yuta Nishikawa)

 

Andrew T. Kamei-Dyche, ‘Pioneering the “Art” of Publishing: Natsume Sōseki and Book Design in the Late Meiji Era’
亀井ダイチ アンドリュー「出版の「芸術」を拓く― 夏目漱石と明治後期における装 丁」(亀井ダイチ 利永子訳)

 

[展示図録/Exhibition catalogue]
松田隆美徳永聡子『(西洋)文字景-慶應義塾図書館所蔵西洋貴重書にみる書体と活字』(慶應義塾図書館/慶應義塾ミュージアム・コモンズ、2021年)

 

Takami Matsuda and Satoko Tokunaga, (Western) Letter-scape: Historical scripts and types from the Collection of Western Rare Books in Keio University Library (Tokyo: Keio University Library/ Keio Museum Commons, 2021)

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