[論文募集]The KeMCo Review 03(特集:コモニング—コモンズ的実践)

「The KeMCo Review」(ケムコ レビュー)は、慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)の活動に関連する諸領域における、学内外の研究や実践の共有化を目的とする学術誌です。

2025年3月に刊行予定の第3号に掲載する投稿論文を下記の通り募集いたします。
みなさまの研究、実践の成果を、この機会にぜひご共有くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

プロポーザル〆切=2024年7月10日(水) 原稿提出〆切=2024年9月30日(月)

 

論文募集PDF投稿規程執筆要領

1. 募集論文の種類

特集論文・特集研究ノート
特集のテーマは、「コモニング—コモンズ的実践」です。テーマ設定について詳しくは、「4. 特集について」をご参照ください。

一般論文、研究ノート
KeMCoの活動に関連する諸領域を対象とした論文および研究ノートを募集します。以下に主なトピックを示しますが、関連する投稿であれば幅広く受け付けます。一般論文と研究ノートの別については、投稿規程をご参照ください。

 

大学と文化財、展覧会、コレクション、オブジェクト・ベースト・ラーニング、コラーニング、オープン・エデュケーション、コミュニティとミュージアム、デジタル・ミュージアム、デジタル・ファブリケーション・ラボ、文化財関連情報、文化と情報技術、デジタル・アーカイヴ、デジタル・ヒューマニティーズ、オープン・サイエンス

2. 論文投稿のスケジュール

投稿を希望される方は、投稿資格※を確認の上、まずプロポーザルをご提出ください。投稿予定原稿が本誌の範疇に含まれるかを編集委員会で確認の上、ご投稿の可否をご連絡いたします。投稿が許可されましたら、本原稿をご投稿ください。本原稿は、査読者による審査を経て採録の可否を決定します。

 

  • プロポーザルの提出〆切:2024年7月10日(水)
  • プロポーザルへの回答:2024年7月13日(土)頃まで
  • 本原稿の提出〆切:2024年9月30日(月)
  • 査読結果の通知:2024年11〜12月
  • 刊行:2025年3月

 

※投稿資格者 1. KeMCo所員、2. 慶應義塾教職員および大学院生、3. 修士の学位を有する者もしくはこれと同等以上の研究者、4. 左記のものを投稿責任者とする著者グループ
※ 上記のスケジュールは、査読に要する時間や投稿希望者の数などにより変更されることがあります。あらかじめご了承ください。

3. 論文投稿の方法

プロポーザル
下記フォームより、【著者氏名、所属、メールアドレス、投稿資格、投稿論文の種別、仮タイトル、アブストラクト(400字以内)】を提出してください。
https://forms.gle/DTuJ3j2DkaznU2JJ9

 

本原稿
執筆要領に従って作成し、投稿フォームから原稿をアップロードしてください。
[投稿用テンプレートおよび投稿フォームは後日公開します]

4. 特集について

 

The KeMCo Review 03 特集 「コモニング—コモンズ的実践」

 

もともと「共有地」「入会地」といった空間、またそこに在する資源を指していた「コモンズ」を巡る思考は、近年大きな拡がりをみせています。共有が資源の枯渇を招くとしたハーディンの「コモンズの悲劇」(Hardin 1968)に対し、経済学・人類学・社会学などの幅広い領域の研究者が、共有地での現実の営みの分析に基いて共有制度の有用性を論じ、現代におけるコモンズ論が展開しました。
その後、コモンズ論は、オストロムによるコモンプール資源(Common Pool Resouces)の導入を契機として(Ostrom 1990)、環境資源からその射程を延ばし、情報通信、都市、知的財産権、デジタル・コンテンツ、文化など、有形無形の広範な領域に拡大しています(三俣 2010)。
文化領域のコモンズに目を移すと、日本では2010年代から議論があり(山田 2010)、これからの文化施設の果たすべき役割として「文化的コモンズ」の形成が提言されたほか(地域創造 2014, 2017)、コモンズに接続する幅広い理論や実践を渉猟した論も発表されています(佐々木 2024)。
「コモンズ」を名称とミッションに掲げる慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)では、文化財・文化活動に関わるコモンズとして機能すべく、多様な主体が企画に参加する展覧会、文化財を軸に対話を開く講義、収蔵庫や撮影施設の共有化など、さまざまな活動を行ってきました。2023年に公開したオンライン・コース「Akichi in Collections Management」(Keio Museum Commons 2023)では、創造的「空き地」をキーワードに共有(シェアリング)の実践と仕組み作りの重要性を取り上げました。
これまでのKeMCoの実践を振り返ると、ラインボーやハーヴェイが指摘するように(Linebaugh 2008, Harvey 2012)、コモンズは所与のものではなく、さまざまな社会的・物的環境をコモン化していく(commoning)、絶え間ない、数多の実践の中に生まれるものであることを再認識しています。

このような背景から、The KeMCo Review の第3号では、「コモニング—コモンズ的実践」を特集として設定します。大学や文化施設に留まらず、国内外の幅広いフィールドや現場において、コモンズに連なるどのような実践が行われているのか、さまざまな主体・規模・段階の実践、挑戦を、互いに共有してゆく特集としたいと考えます。みなさんの参加をお待ちしています。

 

Hardin, Garrett. 1968. ‘The Tragedy of the Commons’. Science, New Series 162 (3859): 1243–48.
Ostrom, Elinor. 1990. Governing the Commons: The Evolution of Institutions for Collective Action. Cambridge University Press.
三俣学. 2010. 「コモンズ論の射程拡大の意義と課題」. 法社会学 2010 (73): 148–67.
山田奨治. 2010. コモンズと文化: 文化は誰のものか. 東京堂出版.
一般財団法人 地域創造. 2014. 「災後における地域の公立文化施設の役割に関する調査研究─文化的コモンズの形成に向けて─」. https://www.jafra.or.jp/library/report/26-27/.
一般財団法人 地域創造. 2017. 「地域における文化・芸術活動を担う人材の育成等に関する調査研究─文化的コモンズが、新時代の地域を創造する─」. https://www.jafra.or.jp/library/report/26-27/.
佐々木秀彦. 2024. 文化的コモンズ―文化施設がつくる交響圏. みすず書房.
Keio Museum Commons. 2023. ‘Akichi in Collections Management – Online Course’. FutureLearn. Accessed 10 June 2024. https://www.futurelearn.com/courses/akichi-in-collections-management.
Harvey, David. 2012. Rebel Cities: From the Right to the City to the Urban Revolution. Verso Books.
Linebaugh, Peter. 2008. The Magna Carta Manifesto: Liberties and Commons for All. University of California Press.

 

5. 編集委員会

委員長 池谷 のぞみ(ミュージアム・コモンズ機構長、文学部 教授)

渡部 葉子(ミュージアム・コモンズ 副機構長、アート・センター 教授)
佐々木 孝浩(斯道文庫 教授)
安藤 広道(文学部 教授)
佐々木 康之(文学部 准教授)
大川 恵子(メディアデザイン研究科 教授)
都倉 武之(福澤研究センター 准教授)
本間 友(ミュージアム・コモンズ 専任講師)

6. その他・問合せ先

投稿規程 執筆要領

 

お問合せ先
The KeMCo Review 編集部(慶應義塾ミュージアム・コモンズ)
〒108-8345 東京都港区三田2-15-45 Tel. 03-5427-2021 Fax. 03-5427-2022
Email: kemco-review-group@keio.jp