デジタル・コレクションの活用の現在:実現可能なデジタル展示の事例と短期的展望 (美術史学会2025年シンポジウム)
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近年、社会のさまざまな領域において、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が流行語となっています。DXは、デジタル技術が社会に浸透することによってもたらされる変革を意味しますが、現実には情報やプロセスのデジタル化など、多義的に使用されています。このやや漠然とした「DX」の流れは、しかし、美術館・博物館の世界にも大きな波となって押し寄せてきています。
DX推進の旗が盛んに振られる一方で、デジタ(ラ)イゼーションの努力は、各組織に委ねられています。そのために必要とされる資金・人員・ハードウェア・ソフトウェアのノウハウなど、いずれもが不足している状況下で、新たな課題に向かう負担は決して小さいものではなく、「DX」への取組がほぼ手つかずとなっている組織も少なくありません。
とくに、コレクションのデジタイゼーションと公開に関わる事項は大きな検討課題ですが、今回は、その中から「デジタル・コレクションの活用」に焦点をあて、現在試みられている実践を報告いただくとともに、今後考え得る実現性の高い発展形についても示唆をいただきたいと思います。
夢のような理想ではなく、いまの現実を踏まえた美術館・博物館と「DX」の話題を、専門家をお迎えして参加者が学ぶための機会としたい、と考えています。
詳細
日付
2025年3月1日(土)14:00~17:00
場所
1. 應義塾大学三田キャンパス 東館 G-lab(対面)
東京都港区三田2-15-45 慶應義塾大学東館6階(キャンパスマップ 13番の建物)2. オンライン(Zoom Webinar)
https://keio-univ.zoom.us/webinar/register/WN_-ES7TVsqRoGQQIThOx1WxA
対象
対象
1. 対面:美術史学会会員を対象とします
2. オンライン:学会員以外の方も聴講できます定員
1. 会場:80名
2. オンライン:定員なし参加方法
1. 会場参加の場合:事前申し込み不要。直接会場にお越しください(先着80名)
2. オンライン参加の場合:下記ウェブサイトより参加登録をお願いいたします。https://keio-univ.zoom.us/webinar/register/WN_-ES7TVsqRoGQQIThOx1WxA
費用
無料
お問い合わせ
250301-ah-group@keio.jp
プログラム(予定)
14:00~14:05 開会の挨拶 京谷啓徳(美術史学会東支部代表委員/学習院大学)
14:05~14:10 趣旨説明 内藤正人 (美術史学会美術館博物館委員/慶應義塾大学)
14:10~14:35 報告1 田良島 哲 (独立行政法人国立文化財機構 東京文化財研究所)
「『ミュージアムDX』は何の役にたつのか —東京国立博物館の経験から—」
14:35~15:00 報告2 佐藤琴(山形大学)
「周囲の相談にのっていたら、さらに輪が広がってさまざまな立場の方々とデジタルアーカイブをつくっていました-「山形アーカイブ」はゆるく・長く-」
15:10~15:35 報告3 宮北剛己、本間友(慶應義塾大学)
「デジタル・ミュージアムと展覧会アーカイヴ」
15:35〜16:00 報告4 大井将生(人間文化研究機構/国立歴史民俗博物館)
「デジタル・コレクション × 学校教育でワクワク広がる展示の拡張と共創」
16:00~16:15 休憩
16:15~16:55 パネルディスカッション、QA
パネリスト:田良島、佐藤、宮北、大井、モデレーター:本間
16:55~17:00 閉会の挨拶
登壇者プロフィール
田良島 哲(たらしま・さとし)
東京文化財研究所 客員研究員、アート・ドキュメンテーション学会 会長。京都府教育庁文化財保護課、文化庁美術学芸課を経て、2024年まで東京国立博物館に勤務。調査研究課長、博物館情報課長を務める。所蔵品情報のデジタル化を通じて学芸業務と外部サービスの改善に取り組んだ。
佐藤琴(さとう・こと)
宮城県出身。山形大学教授・附属博物館学芸研究員。東北歴史博物館(1999年開館)の準備業務と学芸員を経て2011年から現職。専門は日本美術史(松島図)・博物館学(情報・経営・防災)。
大井将生(おおい・まさお)
人間文化研究機構/国立歴史民俗博物館 特任准教授。公立高等学校教諭を経て現職。「デジタルアーカイブの教育活用」をテーマとして学校教育を対象とした実践的研究に従事。主な研究に「ジャパンサーチを活用したキュレーション学習」「S×UKILAM(スキラム)連携」「多次元可視化ツールを用いた3D展示」など。
主催:美術史学会(美術館博物館委員会)
共催:慶應義塾ミュージアム・コモンズ、慶應義塾大学アート・センター
後援:一般社団法人全国美術館会議、文化資源学会、公益財団法人日本博物館協会、日本ミュージアム・マネージメント学会、アート・