〈KeMCo Peer-learning Series〉ils issue 0「新しい世界制作の方法」

同時代のクリエイティブ産業やコミュニティについて知り、実際にその領域で活動している人物たちと繋がることによって、自分自身のキャリアにおける「スタート地点」を作る連続イベント

ils issues では、様々な環境小さな実践を積み重ね、自分なりのキャリアを形成していったクリエイターやアーティストとの対話やワークショップを行います。

自分と向き合いながらやりたいこと・達成したい目標を見つけ、実際のアクションにうつす為の知識や知恵をインストールすることを目指します。

 

*本プログラムは、アートやカルチャーへの問題意識を持つ学生と協働して、ディスカッションのプロセスを重視しながら学生主体の企画を展開する、KeMCoのイベント・シリーズ「KeMCo Peer-learning Series」の一環として開催されます。

 


 

第一回の講座企画を終えて(松尾 紀)

学生主体、かつ現代におけるクリエイティブ産業をテーマとして捉えたトーク企画で、大学生が2回で100人近く集まったことにまず驚いた。この講座を始めるにあたって、自分の学生時代を振り返りながら、部活やクラスといった「強いつながり」だけに依存せずとも興味関心が似ていたり、人間的なシンパシーを感じたりしながら、ごく個人的な関係を結び合う「弱いつながり」や「強いつながり」をつなぎ合ったりしながら慶應義塾にある一つの確かな「(良いカルチャーに興味があったり、実際に制作している人もいる)シーン(やコミュニティ)」を作れるのかという疑問に希望を持てた。

 

これは一番の財産だと思ったが、過去2回の講座が終わった後、布施さんを自分のゼミに呼んでトークを企画した人がいたり、TaiTanさんに広告の仕事を持ち込んだ人がいたり、遠山さんのスピーチに感化されて実際に音楽を作り始めたり身内でパーティーを企画したり、noteに遠山さんの思想を考察しながらまとめた人もいた。この講座は、講座の最終回で自主制作の成果発表を行うという立て付けであったが、誰しもが「制作」そのものに興味があるわけではなく、それをサポートすることに興味がある立場の人間もいる(もちろん、サポートそれ自体にも「制作」は介在するという前提はさておき)し、もちろんまだ「制作」にピンときていなかったり、そもそも興味がない人もいる。

 

そういうこの講座に参加したみんなの「制作」を傍目で見ながら、私は非美術大学におけるアートやカルチャー、ファッションといった領域での「良い/適している」(広義の)教育を考えたとき、期限を設けたり単位を与えたりしながら「制作」を構造化し促していくことがどうしても正解だと思えなかった。むしろ、ゲストスピーカーから受け取ったものを持ち帰って、講座の外に各人の自由な制作が生まれたこと、そこに一番の価値があると思ったのだ。

 

一人の「情熱的な言い出しっぺ」を起点に、世界中の『「制作」に携わっている人間』との対話を通して、自由な「制作」の輪が広がり、時間をかけて一つの「(良いカルチャーに興味があったり、実際に制作している人もいる)シーン(やコミュニティ)」を慶應義塾の中に作ること、それを目標に、次の講座につなげたいと思った。

  • 日付

    #1 5/26(金) 19:00-21:00
    カルチャーナラティブ:原体験の転用—良い文化活動を続けるために
    ゲスト:TaiTan、布施琳太郎

    #2 6/23(金) 19:15-21:00
    カルチャーナラティブ:カルチャーがカルチャーであるためのオルタナティブ
    ゲスト:遠山啓一

  • 場所

    慶應義塾大学 三田キャンパス 東館6F G-lab

  • 対象

    大学生、大学院生(慶應義塾大学の学生でなくても参加できます)

  • 費用

    無料

  • お問い合わせ

    慶應義塾ミュージアム・コモンズ 本間(homma@art-c.keio.ac.jp

各回のテーマとゲストクリエイター(予定)

#1(5/26・金):カルチャーナラティブ:原体験の転用ー良い文化活動を続けるために

 

TaiTan

Dos Monosのメンバーとして3枚のアルバムをリリース。台湾のIT大臣オードリータンや、作家の筒井康隆とのコラボ曲を制作するなど、領域を横断した活動が特徴。また、クリエイティブディレクターとしても¥0の雑誌『magazineⅱ』やテレ東停波帯ジャック番組『蓋』などを手がけ、2022年にvolvoxを創業。Spotify独占配信中のPodcast『奇奇怪怪』やTBSラジオ『脳盗』ではパーソナリティもつとめる。

 

布施琳太郎

1994年生まれ。アーティスト。ソーシャルメディアとスマートフォンの浸透以降の都市における「新しい孤独」や「二人であること」の回復に向けて、絵画やインスタレーション、自らの詩に基づいた映像作品の制作、ウェブサイトのプログラミング、展覧会の企画、批評の執筆などを行う。
主な個展に『新しい死体』(2022/PARCO MUSEUM TOKYO)、『名前たちのキス』(2021/SNOW Contemporary)など。自主企画展に『惑星ザムザ』(2022/小高製本工業跡地)、『隔離式濃厚接触室』(2020/Webページ)。参加展覧会に『時を超えるイヴ・クラインの想像力』(2022/金沢21世紀美術館)など多数。東京藝術大学美術学部油画専攻卒、大学院映像研究科修了。第16回美術手帖芸術評論募集に『新しい孤独』で佳作入選。書籍「ラブレターの書き方」を準備中。

 

Taitan, 布施琳太郎

 

#2(6/23・金):カルチャーナラティブ:カルチャーがカルチャーであるためのオルタナティブ

 

遠山啓一

慶應義塾経済学部卒業後、ロンドン大学SOAS校においてカルチュラル・スタディーズで修士号を取得。帰国後、Ogilvy Japanに戦略プランナーとして勤務する傍ら、国内外で都市文化や音楽に関するリサーチ・プロジェクトを展開。
2019年にCANTEENを設立。現在Tohji、ralph、kZmなどを含む20組以上のアーティストに対して、マネジメント/レーベル・サービスを展開し、年間100以上のリリースやイベントを展開している。
2022年には共同経営者としてアートギャラリー及びアーティスト・コミュニティのマネジメントを手がける「CON_」、広告を中心に様々なタイプのクリエイターをマネジメントする「volvox」を創業。音楽に限らず、都市文化/クリエイティブ・ビジネスに関する事業を継続的に行っている。

 

遠山啓一

 

開催形態

対面(ほぼ毎回の録画でのアーカイブを予定しています)・要予約

 

お申込

Google Form よりサインアップしてください(受付は各回当日まで)
[申込み受付は終了しました]

単発参加OKです!

 

 

企画:松尾紀
企画協力:Hisatomo Kato(CON_)
主催:慶應義塾ミュージアム・コモンズ