小秋元段

法政大学文学部教授

小学生のころ、ガリ版に輪転機でプリントを制作して配付する担任の先生の特権に憧れたことはないでしょうか。それが理想科学工業株式会社の「プリントゴッコ」の発売により、小学生でも安価で自在に印刷ができるようになりました。そのときの感動を覚えている方であれば、近世初頭に古活字版の印刷技法に接したときの当時の知識人たちの感動は理解できるはずです。小著『増補 太平記と古活字版の時代』(新典社、2018年)は、五十川いかわ了庵りょうあんという人物がいかにして古活字版の技術を用い、『太平記』を刊行したかを追ったものです。

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